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柳家 小三治

講談社

グループ:Book

ランキング:29811

価格:¥ 700

発売日:1998-06

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カスタマーレビュー

二番煎じさえなければ・・・  (2008-08-29)
噺家・柳家小三治の高座録音から活字におこし、修正した文章を収録。私は噺家の写真をみるのが好きで、なかでも被写体として一番好きな噺家がこの人であった。橘蓮二「おあとがよろしいようで」の頃の職人らしく厳しい相貌に、私はかつてしびれた記憶がある。

本多勝一が書いているように、はなし言葉はそのままでは文章にはならない。その点は、はなし言葉のプロである噺家においても同様であろう。それでも、さすがに本書の文章では、それらしくうまく高座の雰囲気を出している。ことばの専門家たる小三治が熟読して承認していると言ってよさそうだ。ゴーストライターが、本人の知らないうちに出版して名前だけ借りているような本ではないだろうと信じる。

本書には続編「もひとつ ま・く・ら」がある。しかし書籍としては、この正編の方がはるかに勝る。柔らかい言葉と軽みのあるおかしさに引き込まれる。これに対して続編は二番煎じと思しく、とくに教育や学問の問題を論じた章は床屋政談並であり、青臭く野暮である。とりわけ「三十になって物理をやりたいと思えば、そのときやればいいじゃないか」という意味の言葉(「もひとつ」のp.127)を読む限り、彼が学問を甘く見過ぎていることは明白であり、学問で生きている者としては「ばかにするな」と怒りさえ感じる。こんなものまでテープを起こさざるを得なかったのか。そうまでして2冊目を作る必要があったのか?続編で私が心から楽しんだのは、名品「笑子の墓」をはじめとする数編のみであった。

小三治師匠の魅力  (2008-07-06)
落語家のプライベートはなかなかわからないものだが、
この本を読むと多くのひとが小三治さんというひとが好きになると思う。
自分の家の駐車場にスペースを借りて住んでしまった路上生活者の長谷川さんとの
つきあい。外に放り出すほど猫が嫌いなんだと言いつつ、
生まれてしまえば情が移って可愛がる様子。現代は贅沢すぎる、いつかバチが当たる、
といいつつも、その豊かさも享受しようかというところ。
人間とは矛盾に満ちていること、その矛盾なしには生きていけないことを小三治師匠は
知っていると思う。だからといって説教臭くない。なぜか落語家らしくない、と思う。
こういうこだわりある年のとりかたをしたいものだ。

身の丈の「個」の話にこだわる気骨っていうか偏屈が小三治の魅力  (2006-02-15)
 まくらって言ったら漫才のツカミ、本編の噺にうまく引き込むためのプロローグ、主従で言ったら「従」、本末で言ったら「末」ってのが本来の役どころである。ところが小三治の場合、まくらと噺の位置づけはまったくのイーブン、まくらがノッた時は、噺は伸縮の利く「小言念仏」かなんかを形だけやって、時間で言ったらまくら8:噺2なんてこともある。
 演歌の大物とかが新宿コマの公演で、芝居とヒットパレードの二部構成なんてのをやるけど、あれに近い。噺に付随したものではなく、まったく別物として独立しているのだ。まさに一粒で二度オイシイのが小三治の高座なんである。
 小三治は「あとがき」でこう書いている。「私は喋りというのはその場で、高座(舞台)と客席の空間に消えてしまうことが値打ちだと思ってますから、本当はCDやテープも出したくないぐらい」。まさにその通り。やっぱナマの話芸としてその空間で聞くからサイコーに面白いってのがあるから、本で書き言葉に写したものは、どうしてもフルって訳にはいかない。それでもこんだけ面白い!ってのはすごいけど、ナマの喋りはこんなもんじゃないのである。
 それにしても小三治は面白い。飲む打つ買う、みたいな昔ながらの芸人風情がまったく無くて、結構いい歳なのに、バイク、オーディオ、俳句なんて多趣味で、おたくの走りみたいな現代性を持っている。歳取って益々、“塩”とか“ハチミツ”とか、そういうこだわりがいい。胡散臭い大きな事象を語るんではなく、身の丈の「個」の話にこだわる気骨っていうか偏屈が小三治の魅力だよなぁ。この本でハマッタ人は是非、師匠の(本業の)高座も聞いてみてください。

また買っちゃいました。  (2005-09-09)
電車の中でも、ついニヤニヤほくそ笑みながら読む一冊です。古本屋に売ったり、人にあげたりするのですが、「ああ、そろそろアレが読みたいな・・・」と思ってこの間3冊目を買ってしまいました。バカですよね。

小三治師匠の「まくら」(落語の本筋に入る前の導入部)を文章化した一種のエッセイ。日常、そこここに普通におこっていることが、小三治師匠のフィルターにかかると、どうもおもしろい事件になってしまう。これが落語の底力なんでしょうか。人間同士の普通のやりとりを、大きく小さくガバッとつかみとり、さりげなく語っているのがなんとも愉快です。文章も、小三治師匠の高座を録音(録画?)したものからおこしているので、師匠の落語を一度でも聞いたことのある人は、あのとつとつとした語り口調がよみがえってきて、これぞバーチャル。

毎日のルーティンワークに埋もれて、人生のモティべーションが下がってしまったときに読む一冊です。自分の日常に、いつもと違う視点をもちこみたいときにもおすすめです!

「まくら」の概念を変える新しい領域  (2005-03-05)
 元は、小三治師匠の少し長めのまくらであったのかもしれないけれど、「まくら」が、本番の落語の導入とすると、この「ま・く・ら」は全く別の芸域だと考えるしかない。
 様々な趣味を持つ師匠の薀蓄とか、旅先でであった人との噺とか、ここには、落語の原点、根幹を成す人間の「人への興味」がある。

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